保育の場では、子どもたちが社会性を学び、他者と関わる力を育むために集団遊びが非常に重要です。
集団遊びを通じて、子どもたちは互いの違いを受け入れながら、協力し合う力やコミュニケーション能力を自然と身につけていきます。
乳児の頃は1人遊び、並行遊びと1人で遊ぶことを中心に少しずつ周りのお友だちの存在にも気づいていく時期です。
また幼児になってくると、友だちや保育士と一緒に遊ぶことが楽しくなり、ルールを理解し守って遊ぶことができるようになってくる時期です。
今回は集団遊びので養われる社会的、情緒的なスキルまた2歳児からの子どもの年齢別にどんな集団遊びがるのかをご紹介したいと思います。
集団遊びのねらい
子どもたちは単に遊ぶだけでなく、日常生活に欠かせない社会的な基礎力を身につけることができます。
協力する力を育てる
仲間と協力し、役割を分担しながら目標を達成する経験を通じて、協調性を育みます。
リーダーシップとフォロワーシップのバランス
リーダーシップを発揮する経験をする一方で、他者の指示に従って動くフォロワーシップの大切さも理解します。
コミュニケーション能力の向上
言葉で伝える、意見を出し合う、交渉するなど、他者とのコミュニケーションスキルを自然と磨きます。
自己表現と創造性の発揮
共同アートやごっこ遊びを通じて、自分のアイデアや感情を表現することに自信を持てるようになります。
ルールを守る力と順番を待つ忍耐力
遊びの中で決められたルールを守ったり、順番を待つ経験を通して、社会のルールに順応する力を養います。
感情のコントロールと共感力の育成
勝ち負けや成功・失敗を経験する中で、悔しさや喜びを他者と分かち合い、感情をコントロールする力や相手への共感力を育みます。
2歳児後半からできる集団遊び
2歳後半や3歳児クラスのお子さんなど、集団遊びを初めて取り入れる際は勝ち負けがないようなルールに変えることも大切です。
背中と背中
準備
ピアノまたはCD
ルール
①ピアノやCDの曲に合わせて部屋の中を歩く
②音が止まったら「〇〇(体の部位)と〇〇(同じく体の部位)!」と掛け声をかける
③掛け声で言っていた体の部位同士を友だちとくっつける
例
背中と背中、おててとおてて、お腹とお腹など。
※慣れてきたらおててとほっぺなど違う部位同士にしてみても良いと思います!
おおかみさんいまなんじ
準備
- 子ヤギの陣地を2箇所作る
- 陣地と陣地の真ん中ら辺にオオカミ役が立つ位置に目印をつける
ルール
「真夜中の12時!」と言われたら陣地から陣地に捕まらないように引越する!
①オオカミ役(1人)と子ヤギ役に分かれる。
②子ヤギは片方の陣地からスタート!オオカミ役は真ん中に立つ
③子ヤギたちが「おおかみさん、おおかみさん、いまなんじ?」と声を揃えてオオカミに聞く
③おおかみは「〇〇じ!」と答える。
この時、「真夜中の12時」とオオカミが答えたら子ヤギは陣地から陣地へ引っ越しをする。
オオカミは逃げる子ヤギを捕まえる。
捕まった子は「見る」スペースへ。
「真夜中の12時」以外だった場合は引っ越しはせず「あ〜よかった!」と掛け声をかける!
そして再度「おおかみさん、おおかみさん、今何時?」の掛け声をかけて続けていく。
※初めの頃は保育士がおおかみ役をして、逃げることを楽しめればOK!
しっぽとり
準備
人数分のしっぽ
スズランテープを三つ編みにして作るもよし、スズランテープそのままで使い捨てでもよし、紙テープでもシフォン布でもよし!
ルール
①鬼を決め、鬼以外は尻尾をつける
②「よーい、スタート!」の合図で尻尾を取られないように逃げる
③尻尾をたくさん取れた人が勝ち
尻尾を取られずに逃げ切れた人が勝ちなど子どもの様子に合わせてルールを決めましょう
※低年齢のクラスでやる場合は、保育士が鬼をやりたくさん走り回り、子どもたちが逃げきれた経験をするだけでOK!
3歳児からできる集団遊び
キティーちゃんゲーム
準備
四隅にフラフープや小さなマットなどで1人が入れるくらいの陣地を作る
ルール
①鬼を決める
②四隅の陣地に1人ずつ入る
③「キティーちゃんゲーム、始まった!」の合図で四隅にいる全員が一斉に別の陣地へ引っ越しをする
④鬼は空いた陣地へ入る
⑤陣地に入れなかった人が次の鬼になりゲームを続ける
宝探しゲーム
準備
隠す宝物、隠せる場所、隠せる箱や容器など
ルール
①宝物を隠す
②「よーい、スタート!」の合図で宝物を探しに行く
※シンプルな遊びですが、室内でいつでも楽しめます!
部屋にある棚だけでなく、別で箱やカゴをたくさん準備して隠すと、夢中になってカゴや箱をひっくり返す姿が見られます!
4歳児からできる集団遊び
氷鬼
準備
特になし!
ルール
①鬼を決める
②10数える間に逃げる
③鬼にタッチされないように逃げる
④タッチされたら手をクロスしてその場で固まる
⑤タッチされてしまった人は味方にタッチされると復活して再度逃げることができる!
他にもあるいろんな鬼ごっこ
- 高鬼
- ばなな鬼
- 電子レンジ鬼
- 手繋ぎおに
- 色鬼 などなど
フルーツバスケット
準備
人数分の椅子
必要であればグループ分けしたものが書いてあるカード(首から下げたり、テープで服に貼ったりしてわかりやすくするため)
ルール
①椅子を円になるように内側に向けて並べる
②椅子の真ん中に立つ人を決める
③立つ人も含めて子どもたちそれぞれ3〜4種類のフルーツに分ける
例えば…いちこ、ぶどう、りんご、ももなど。
④真ん中に立つ人は先程振り分けたフルーツの中から好きなフルーツの名前を言う。
⑤呼ばれたフルーツの人は席を離れ引っ越しをする。
⑥座れなかった人が真ん中に立ち、ゲームを続ける。
※「フルーツバスケット」と言われたら全員がお引っ越し!
※「りんごともも!」というように複数のフルーツを組み合わせてもOK
※季節に合わせて掛け声を変えても面白そう!
節分の季節には赤おに、青おに、おかめさんなど…で応用
全員引っ越す掛け声は「はるいちばん!」
「ビューン!」と言いながら全員でお引っ越し♪
5歳児からできる集団遊び
オーケストラの指揮者(震源地ゲーム)
準備
人数分より1つ少ない数の椅子(椅子に座って遊ぶ場合のみ)立ってても可!
ルール
①鬼を決める
②鬼以外の子の中から指揮者を1人決める
③子は鬼の周りに円になって並ぶ
④指揮者は鬼にバレないように好きな動き(足踏みしたり、肩を叩いたり…)をし、その他の子は指揮者の動きの真似をする
⑤誰が指揮者が探す
⑥指揮者を当てることができたら鬼を交代してゲームを続ける
ドッジボール
準備
ボール、コート
ルール
①2グループに分ける
②各チーム外野を決める
③各チーム1人代表がボールじゃんけんをする
④ジャンケンに勝ったチームからボールを持ってゲームスタート
⑤ボールを当てられたら外野に行く
⑥最終的にコートの中にいる人数が多い方が勝ち!
※ボールが顔や頭に当たると危ないので、頭や顔に当てることはNGということを伝えてから始めましょう!
※子どもたちの発達に合わせて、転がしドッジボールや王様ドッジボール、ハンドドッジ、アメリカンドッジなどルールを変えて取り入れてみてください!
まとめ
まずはみんなと遊べて楽しい!または、その遊び自体が楽しい!と思える経験をして、成長過程に合わせて勝ち負けのある遊びも経験できるようにする…と見通しを持った取り入れ方も意識してみてください。
取り入れるタイミングや養っていく能力に合わせて、ルールがある集団遊びをすることは、子ども達同士の集団でのルールに気づくきっかけになります。そして引いては、社会で必要なルールを守ることの大切さの理解を深める事にも繋がります。
子ども達と沢山の集団遊びを通じて、社会性や感性を伸ばしてあげたいですね。