2022年の東京都保育士実態調査報告によれば「保育士退職意向の理由」において約6割の方が「給料が安い」ことが原因で辞めていることがわかりました。
保育士の全国平均年収は、380万円前後と言われています。
子どもの命を預かる仕事であり、業務が多いのにもかかわらず、賃金が安い保育士は「割に合わない」ということです。
結果、現場の人手が足らず社会問題にも発展していました。
それを受け、令和4年2月から「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」が実施されました。
保育士の処遇改善は見直しが続いており、今後も給料アップへの取り組みは続くと予想はされています。
今回は2024年度(令和6年)最新の保育士の処遇改善手当と今後についてお話します。
処遇改善手当とは?
保育士の処遇改善手当てとは、保育士の給料アップのために国や自治体から出される補助金のことです。
正式には「保育士処遇改善加算」といい、2013年から内閣府主導で、対象は認可保育園のみとなります。
要件を満たしている場合、国から各保育園へ補助金が振り込まれ、その分保育士の給料もアップする、という流れになります。
※保育園に振り込まれる為、分配方法は園によって異なります。
処遇改善加算の種類ってなにがあるの?
2024年現在「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の3種類があり、それぞれ要件を満たした場合に補助金が支給される流れとなっています。
処遇改善Ⅰ
職員の平均勤続年数に応じて園に補助金が入る仕組みで、月額12,000円~最大38,000円(2~12%)給料がアップ
※正規職員と1日6時間以上、月20日以上就労するアルバイトやパート職員などの非常勤保育士が対象
処遇改善Ⅱ
副主任保育士や専門リーダーといった役職に就くことで、月額5,000円~40,000円ほど給料がアップ
処遇改善Ⅲ
期間限定の賃上げで、月額9,000円が給料に上乗せ
※処遇改善加算Ⅲは、2022年2月~期間限定(終了日未定)の保育士賃金改善のための施策
処遇改善加算制度がいつまで続くのか?
保育士への処遇改善加算には明確な期限は定められていません。
上記でも述べたように、給料が低いことでの保育士の退職を防ぐため、新しい保育士を確保するために設けられた、処遇改善加算は、今後しばらくの間はおこなわれるでしょう。
しかし、制度がいつまでかは決められていないので突然ストップすることもあり得ますので確認が必要です。
処遇改善加算の今後について
2024年2月に「処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化について」の資料が発表されました。
これまでので3種類の加算(Ⅰ~Ⅲ)だと趣旨や対象者、要件、加算額の算定方法等が異なり複雑化しているとのことで一本化する方針があるようです。
今までよりも明確化してくるのではないでしょうか?
「平成25年度以降、累計+23%の給与改善及び別途月額最大4万円の給与改善を進めてきた」と記されていました。
少なからず、保育士の仕事に国が理解してくれてきているという証拠でしょう。
今後を期待しつつ、更なる保育士の給与がアップするのを注視していきたいですね。
まとめ
今回は保育士の「処遇改善加算」についてお話ししました。
普段聞きなれない、行政独特の言葉が難しいとは思いますが、保育士の給与に直接関係してくるお話です。
一度この機会に「処遇改善加算」を見直してみてはいかがでしょうか?
ご自身の処遇改善加算がどのような割合で振り分けられているのか。
給与アップのために新たな役職を増やすのも良いと思います。
国の施策とは異なり、地方自治体が主体となった処遇改善の施策も実施されています。
様々な角度からご自身の給与を今後のライフプランと一緒にお考えになるのも一つかと思います。