保育士を目指す人や実際の保育士としてお仕事をされていらっしゃる方で、ピアノが苦手な方もいるでしょう。
ただ、保育士は「ピアノが弾けるのが当たり前」というイメージを持つ人も少なくありません。
保育士はピアノを使って伴奏をすることが多いですが、保育士資格を取得する上で、またお仕事をする上で、ピアノスキルは必須なのでしょうか。
保育士資格はピアノが弾けなくても取得できる?
結論から申しますと、ピアノが弾けなくても「保育士」にはなれます。
また、お仕事をする事も可能です。
しかし場合によってはピアノが必須となることもあります。
大学や専門学校では必須科目
保育士資格取得を目指す大学や専門学校では、ピアノが必須科目となっています。
そのため、ピアノに全く関わらずに資格を取得することは難しいです。
しかし、入学して初めてピアノに触れたという人も少なくないので、ピアノを習った経験がなくても問題ありません。
ただピアノに力を入れている学校では、指定された課題曲をクリアできなければ単位がもらえない場合もあります。
学校を選ぶ時には、ピアノカリキュラムの内容も視野に入れて選ぶようにしましょう。
保育士試験でピアノは必須ではない場合
指定保育士養成施設ではない学校の卒業者でも、受験資格を満たせば保育士を目指すことができます。
受験資格は概ね「短期大学卒業程度」で設定されていますが、最終学歴が高等学校卒業であっても、「児童福祉施設で実務経験2年以上かつ総勤務時間数2,880時間以上従事した者」などの条件を満たせば受験資格を得られます。
受験資格を取得したのち、「保育士試験」を受けるのであれば、ピアノの技術は必須となりません。
保育士試験は、筆記試験と実技試験で構成されています。
筆記試験に合格したのち、実技試験に進めるというシステムです。
実技試験では、
・「音楽表現」に関する技術
・「造形表現」に関する技術
・「言語表現」に関する技術
この3分野のうち、2つを選んで受験しなければいけません。
ピアノ演奏が必要となるのは、「音楽表現」に関する技術の試験。
そのため、残りの「造形表現」「言語表現」の分野を選び試験に合格することで、ピアノの実技テストを受けずとも保育士資格を取得できるのです。
ピアノを弾けるに越したことはない
前述で申し上げた通り、ピアノのスキルがなくても、保育士になることは可能です。
ただ、実際の保育現場では、ピアノスキルを求められる場面がとても多いです。
歌を歌う以外にも、リトミック形式で体を動かしたり、朝の会や給食片付けなど活動時間の区切りを知らせたりするのに、ピアノを演奏する場面も見られます。
ピアノを全く弾けなくても、保育士として働ける?
園によって方針はさまざまで、音楽指導に力を入れている園もあれば、初歩的なピアノの技術でも特に不都合なく勤務できる園もあります。
ピアノが苦手な人が、ピアノの技術を求められる園に勤務すると、苦労することが多いでしょう。
ピアノを一生懸命練習をしてもなかなか上達しなければ、ピアノを弾くことを苦痛に感じてしまうでしょう。
そして、ピアノが嫌いになってしまう人もいます。
ピアノが必須の園に勤務をしていてピアノが嫌いになってしまうと、仕事自体が苦痛になり、辞めたいと思うのは無理もないことです。
ピアノが苦手な保育士の対処法
ピアノの練習時間を確保をする
仕事とピアノのバランスを取りながら、毎日一定の時間をピアノに充てるように心掛けると良いです。
短時間で集中して練習することも大切です。
長時間の練習が難しい場合は、日常の中で数回短時間の練習を積み重ねると効果的です。
子ども用の教材を使う
子ども用の教本は音符が大きく表示されているので、譜読みしやすいです。
童謡や子どもに人気の楽曲が掲載されていれば、そのまま保育現場で活かすことも出来そうです。
片手から練習する
初心者の人は、両手ではなく、片手から練習を始めましょう。
最初から両手を使って弾こうとすると、手の使い方が難しくなかなか上達しません。
上達したと感じられなければ練習が億劫になってしまうため、簡単な練習からスタートしてください。
片手である程度弾けるようになれば、少しずつもう片方の手を使い始めましょう。
練習を重ねることで、無理なく両手での演奏ができるようになります。
ピアノ教室に通う
ピアノが上達するためには1番の近道です。
仕事をしている人にとっては、体力的にも負担がかかるところですが、プロの指導に勝るものはありません。
保育中に弾く曲は基本的には童謡です。
具体的には「バイエル」程度の曲が弾けるくらいが望ましいです。
1人だと、ついさぼってしまう人も教室に通うとなると「次回までに練習しなくちゃ」という気持ちが働きやすくなります。
動画で練習する方法
ピアノを演奏する際の指の運び方が苦手、と感じている人におすすめの練習方法です。
練習したい曲が決まったら、動画を見ながら弾く方法もあります。
動画を選ぶ時には、ゆっくりと弾いてくれているものを選んでください。
動画の音に合わせて弾くことで、リズムが取りやすくなります。
ピアノスキルの必要のない園を選ぶ
小規模保育園
小規模保育園は、3歳未満の子どもを少人数で受け入れる施設です。
家庭的な雰囲気に近く、保育室にピアノがない場合も少なくありません。
関わる子どもの年齢が決まっており、定員人数も少ないことから、ピアノが必要な合唱などをする機会は少ないと言えるでしょう。
企業内保育園
企業内保育園とは、企業のオフィス内やその近隣に設置される保育園で、その企業で働いている従業員の子どもを預かる保育施設のことです。
一般的な保育園や幼稚園に比べて子どもの人数が少ないため、ピアノを弾くことが苦手な方でもストレスを感じることなく仕事ができるでしょう。
院内保育園
院内保育園とは、病院内の保育所で、医療従事者の子どもを預かる保育園です。。
院内保育園も大きな行事はありません。
また、園児の人数も少ないため、ピアノが弾けなくても、安心して仕事をすることができるでしょう。
まとめ
これまで色々と『保育士にとってピアノスキルとは…』というお話をしてきました。
結果、スキルがあれば保育の幅や就職先の選択肢が増えると考える程度で良いかと思います。
仮にピアノを弾くのが苦手な場合でも、その他の点で保育士としての大切なスキルや子どもへの情熱があれば保育士として活躍する道はきっとあるはずです。
ぜひ自分に合った方法を見つけて、子どもの豊かな心を育む保育士として前向きに保育に取り組んで頂けたらと思います。